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【DMCバージル夢】貴方と生きる【第二章開始】

第12章 守られること


 寝台の上、仰向けになったバージルは目を閉じたまま、横にいるビアンカの気配を感じ取っていた。

「……起きてる?」

 小さな囁き声。

 バージルは薄く目を開け、闇の中で彼女の輪郭をとらえる。

「なぜ起こす」

「ちょっとだけ、起きててほしい気分」

 ビアンカは枕元で横になりながら、バージルの方に身を寄せる。

 彼女の指がそっと、バージルの手の甲を撫でた。

「なんだ」

「別に。ただ、触れたいだけ」

「……意味のない行為だな」

「じゃあやめる?」

「……好きにしろ」

 バージルは微かに息を吐き、再び目を閉じた。

 ビアンカはくすっと笑い、彼の手の甲を撫で続ける。

「……アンタってさ、こういう時、嫌がったりはしないよね」

「無意味だからといって、拒む理由もない」

「ふぅん……じゃあ、これも無意味?」

 ビアンカは手を伸ばし、バージルの頬にそっと触れた。

 バージルは目を開け、じっと彼女を見つめる。

「……」

 彼の目が静かに、しかし確かにこちらを見つめているのを感じて、ビアンカはなんとなく笑ってしまう。

「なに?」

「お前は時々、妙なことをする」

「そう?」

「……ああ」

「じゃあ、こういうのは?」

 ビアンカはさらに距離を詰め、そっとバージルの額に自分の額を重ねた。

 バージルの指が一瞬、ピクリと動く。

「……」

 何も言わない。拒みもしない。

 ただ、少しだけ息を詰めた気配がした。

「これも、無意味?」

 囁くように聞くと、バージルは微かに目を細める。

「……お前がそう思うならな」

「アンタは?」

「……」

 バージルは短く息を吐いた。

 そして、ふいにビアンカの後頭部に手を回し、そのままぐっと引き寄せた。

「ん……」

 唇と唇が触れ合う。

 長くはない、けれど確かにバージルから仕掛けたキスだった。

 ビアンカが驚いて目を開けると、バージルは既に目を閉じていた。

 そして、唇を離した後、低く囁く。

「お前は、いちいち俺の想定外の挙動をする」

「嫌いかい?」

「そうはいっていない」

 バージルは腕をほどき、再び目を閉じた。

 ビアンカは、彼の顔をじっと見つめたあと、小さく笑って彼の腕の中に身を預けた。
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