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【DMCバージル夢】貴方と生きる【第二章開始】

第3章 命は続く


 夜の静寂が、家の中を包んでいた。

 バージルはベビーベッドの前に立ち、静かにその中を見下ろしていた。

 ネロは小さな手を伸ばし、頭上に吊るされた玩具を掴もうとしている。

 ふくふくとした頬、キラキラとした瞳。

 ネロは何もかもが新鮮で楽しいのか、無邪気に笑っていた。

 ──小さく、あまりにも無垢な存在。

 バージルは、ごく自然な仕草で手を伸ばした。

 指先で、その頬に触れようとして──

 ──躊躇する。

 彼の手は、数えきれないほどの悪魔を斬ってきた。

 血と硝煙にまみれ、冷徹に力を求めてきた。

 そんな己の手が、この小さな存在に触れていいのだろうか。

 「……」

 バージルはわずかに手を引き、静かに拳を握った。

 その様子をよそに、ネロはくるくると指を動かしながら、玩具に手を伸ばしている。

 まるで、何も恐れるものなどないと言うように。

 ──いや、それは違う。

 彼にはまだ、恐れという概念すらないのだ。

 この世界がどれほど残酷かも知らず、ただ目の前にあるものを信じている。

 バージルは、そっと息を吐く。

 「……」

 少しずつでいい。

 少しずつ、家族になっていけばいい。

 彼は手を引いたまま、ネロを見つめ続けた。

 今はまだ、ただこうして、このままでいい。
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