第10章 神と、仔等(DMC4原作沿い)
すべてが終わった。
フォルトゥナの空に、静寂が戻る。
倒れ伏した悪魔たちの残骸。
崩れ落ちた建物。
そして、瓦礫の向こうから歩いてくる、ネロの姿。
その手には、バージルから託された閻魔刀が握られていた。
「親父、これ……返すよ」
ネロは、バージルに向かって閻魔刀を差し出す。
しかしバージルはそれを受け取らず、静かに言った。
「暫くは貸し与えていてやる」
ネロは驚いたように目を見開く。
「え、でも……」
「それがなければ、トリガーもろくに引けないのだろう」
その言葉に、ネロは何も言えなくなる。
閻魔刀を失えば、彼の魔人化はまだ不完全なものになってしまう。
それを見越しての判断だった。
「……ありがとう、親父」
思春期真っ只中の息子が、素直に礼を言うのは珍しいことだった。
バージルはわずかに目を細めながら、「当然だ」とだけ返す。
そんな二人のやり取りを見ながら、ビアンカはふっと笑った。
「……1度、ちゃんと場を持たないとね」
「だな」
ネロも頷く。
今まで伏せられてきた事実。
彼が知るべきこと。
すべてを、話す時が来たのだ。