第10章 神と、仔等(DMC4原作沿い)
ボロボロになった街を見渡す。
崩れた建物の間に、人々が顔を出し始めている。
恐怖に震えていた信者たちも、ようやく事態が収束したことを理解し始めたようだった。
キリエは、避難していた人々の元へと駆け寄り、歌姫ではなく、一人の少女として声をかけている。
その横で、クレドもまた人々を導きながら、かつてのような凛とした姿を取り戻していた。
「フォルトゥナは、これからどうなるんだろうな」
ネロが呟く。
信じていた神の正体が、あのようなものだったと知った人々は、これからどこへ向かうのか。
教団は崩壊し、信仰の中心が失われた。
けれど、街はまだ生きている。
人々はまだここで生きていく。
バージルは静かに目を閉じ、言う。
「自然と決まるだろう。貴様が、奴らが、生きていくことを諦めない限りは」
ネロはしばらく考え込み、やがて小さく頷いた。
「……そうだな」
そして、ビアンカがふっと息を吐く。
「帰ろう」
彼女の言葉に、ネロも、バージルも、ゆっくりと歩き出した。
彼らが築いた家へ。
これから話すべきことが、たくさんある。
──それでも、家族は続いていく。