第10章 神と、仔等(DMC4原作沿い)
ネロは、岩場の端に立って目の前の異様な光景を見下ろしていた。
崖の下に広がるのは、青々と生い茂る熱帯のジャングル。
ついさっきまで冷たい空気が漂っていたフォルトゥナの地下とは、明らかに異なる気候。
まるで異世界にでも迷い込んだかのような、異常な光景だった。
「……なんだこりゃ!」
突然の声に、ネロの身体が反応する。
即座にブルーローズを構え、声の主に照準を合わせる。
しかし、そこにいたのは――
赤いコートの男、ダンテだった。
「……!」
ダンテは相変わらずの軽薄な笑みを浮かべながら、辺りを見回していた。
「門の影響か……? さすがに異常すぎるな」
ネロはその言葉に眉をひそめる。
「門……?」
「んー……まぁ、お前にはまだ関係ない話かもな」
ダンテは細かいことを明かすことなく笑った。
「悪いな、坊や。また今度遊んでやるよ」
「待てッ!!!」
ネロが踏み込むよりも早く――
ダンテは背中からジャングルへと落ちていった。
ネロは慌てて崖の下を覗き込むが、もうそこに彼の姿はない。
「チッ……!」
ネロは悔しげに歯を食いしばりながらも、再びダンテを追うべく、その場を駆け出した。