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【DMCバージル夢】貴方と生きる【第二章開始】

第10章 神と、仔等(DMC4原作沿い)


 ネロは、目の前の光景を理解するのに、数秒の時間を要した。

 ビアンカがこの男の名前を呼んだ。

 ――どういうことだ?

 まるで、昔から知っていたかのような、その声の響き。

 「母さん、知ってるのか、あの男……」

 だが、その時。

 「総員!戦闘用意!」

 クレドの鋭い声とともに、騎士たちが動き出した。

 混乱と戦闘の幕が上がる中、ネロはただ、ダンテを見つめ続けていた。

 まるで――

 己の知らなかった「家族の秘密」が、唐突に開かれたかのような、そんな気がしてならなかった。

 クレドの鋭い号令とともに、魔剣騎士たちが一斉に戦闘態勢を取った。

 しかし、赤いコートの男――ダンテは微塵も慌てず、銀の銃を軽々と構える。

 的確に撃ち抜かれ、教団騎士たちは次々と倒れていく。

 「な、何だこいつは……!?」

 「強すぎる……!!」

 騎士たちは恐怖を滲ませながらも剣を構えるが、ダンテは悠然としたまま、まるで遊ぶように敵をいなしていく。

 その頃、ネロはキリエを連れて外へ逃れようとしていた。

 「キリエ、はやく!」

 「う、うん!」

 キリエはネロの手を強く握りしめながら、混乱の大聖堂を駆け抜ける。

 しかし、その途中小さな箱が、彼女の手から滑り落ちた。

 「……あっ!」

 落ちた箱は信者たちの足元へと転がり込み、無情にも踏み潰されてしまった。

 「だめっ……!」

 キリエは反射的に引き返そうとする。

 あの箱は、ネロが贈ってくれたもの。

 彼が何も言わずに、そっと置いてくれたもの。

 壊れてしまったら、もう二度と手に入らない。

 しかし彼女の目の前に、赤いコートの男が躍り出た。

 「っ……!!」

 強烈なプレッシャーを前に、キリエは立ち尽くす。

 だが、ネロの身体が咄嗟に彼女の前に飛び出した。

 「うおおおおお!!」

 叫びながらダンテに飛びかかる。

 同時に、クレドがキリエを腕ごと引き寄せた。

 「キリエ!!」

 「クレド兄さん……!」

 キリエを抱えながら、クレドは鋭くネロを見た。

 「ネロ、無茶をするな!!」

 「頼む、キリエを……!」

 「……死ぬなよ!」

 そう言い残し、クレドはキリエを連れて避難していく。

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