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【DMCバージル夢】貴方と生きる【第二章開始】

第10章 神と、仔等(DMC4原作沿い)


 教皇サンクトゥスの厳かな説法が響く大聖堂。

 彼の言葉は、この土地の歴史と信仰について語っていた。

 「かつて、この地は悪魔の脅威に晒されていた……」

 「しかし、偉大なる魔剣士スパーダが現れ、我らを救ったのだ」

 「彼はこの街を統治し、平和をもたらした」

 「だが、やがて彼は去った……」

 「ゆえに、今こそ彼の偉業に感謝し、祈りを捧げよう――」

 「我らが敬愛するスパーダの御名において!」

 信徒たちは一斉に祈りを捧げる。

 キリエも、膝の上でそっと小箱を握りしめたまま、静かに目を閉じた。

 ネロはそんな彼女の横顔をちらりと見て、わずかに微笑む。

 (……後で開けてくれよ)

 照れくささはあったが、それでも、彼女が大切そうに持っているのを見て悪い気はしなかった。

 しかし突如、大聖堂の天窓が粉々に砕けた。

 砕けたガラスが光を受けて散り、まるで鋭い雨のように降り注ぐ。

 同時に、天井から一人の男が舞い降りる。

 赤いコートを翻し、銀髪をなびかせ――

 その手には、銀色の二丁の銃。

 彼は、着地と同時に銃を構え……

 迷いなく、目の前のサンクトゥスを撃ち抜いた。

 「教皇様!!」

 魔剣騎士団長クレドの絶叫が響く。

 会場は一瞬の静寂の後、恐慌状態に陥った。

 「キャアアアアア!!」

 「なんだ!? 何が起こった!?」

 「誰か! 誰かあの男を捕えろ!!」

 信者たちは蜘蛛の子を散らすように逃げ惑う。

 「……キリエ、行くぞ!」

 混乱の中、ネロはキリエの手を掴み、外へ出ようとする。

 「え、で、でも……!」

 「ここにいたら巻き込まれる!!」

 キリエは戸惑いながらも、ネロに引かれるままに立ち上がる。

 しかし、ネロはすぐに異変に気づいた。

 母が動かない。

 ビアンカが、赤いコートの男を見たまま、固まっていた。

 「……母さん?」

 ネロが声をかける。

 だが、ビアンカは微動だにせず、震える声で

 「ダンテ!?」

 と、叫んだ。

 ダンテは一瞬、視線を動かした。

 青い瞳が、ビアンカを捉える。

 彼は、昔と変わらぬ気楽な調子で、片手を上げてみせた。

 何も変わらない、ビアンカの義弟はフォルトゥナで最も権威ある人間を、殺してしまったのだ。
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