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【DMCバージル夢】貴方と生きる【第二章開始】

第9章 少年は剣を取る(DMC4本編直前まで)


 騎士団本部、大広間。ネロは、壇上で表彰されていた。
 文句なしの優勝。いや、むしろ 他の参加者が気の毒になるほどの圧倒的勝利だった。
 その結果、彼にはフォルトゥナ騎士団上級騎士・クレドから正式に辞令が言い渡されていた。

 「ネロ。お前を、キリエの護衛役に任命する」

 クレドは真剣な眼差しでネロを見つめる。

 「この任務の重要性は、お前も理解しているな?」
 「……まあ、な」

 ネロは気まずそうに鼻をかいた。

 「大真面目に言われると、なんか変な気分だぜ」
 「何を言う」

 クレドは神妙な顔で言葉を続ける。

 「キリエはフォルトゥナの希望そのものだ」
 「彼女の歌声は、多くの人の心を救う」
 「そんな彼女を守るということは、すなわちフォルトゥナの未来を守ることに等しい」
 「この任務、決して軽んじるなよ」

 「……」

 ネロは若干引きながらクレドを見た。

 「……いや、分かるけどさ……」

 後ろで見ていたキリエビアンカビアンカが何とも言えない表情をしていた。

 「妹大好きだもんね」
 「兄さんったら……」

 クレドは一切動じず、真剣な顔のまま続ける。

 「当然だ」
 「妹を大切にするのは、兄としての責務であり義務」
 「だからこそ、最も信頼に足る者を護衛に選ぶべきなのだ」
 「そう考えた結果、最も公平な方法を——」

 「つまりネロに勝ち目がないやつらを並べて、妹の護衛を決定したかっただけってこと?」

 ビアンカが冷静に突っ込む。

 「違う」
 「違くないでしょ」
 「……違くないな」
 「認めた!!?」

 ネロは思わず前のめりになった。

 「つーか、そもそも俺以外いねぇだろ!! だったら最初から指名しろよ!!」
 「公平性を重視した」
 「公平も何も、試合の時点で俺の独壇場だったろ!!」
 「それを証明するための大会だった」
 「じゃあやっぱり意味ねぇじゃねぇか!!」

 観客席が笑いを堪えきれずにざわつく。
 クレドはあくまで真剣な表情を崩さないまま、静かに告げた。
 ネロは呆れながらも、仕方なく肩をすくめた。

 「ったく……最初からそう言えよ」

 キリエはそんな二人を見て、そっと微笑んだ。

 「……よろしくね、ネロ」
 「おう」

 こうして、ネロのキリエ護衛任務は正式に決定した。
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