第2章 回想
「そんなの、あるわけがない。適当にそう名乗っとけば少しはこの街の人間の興味を引けるかと思っただけさ、実際は逆に『不敬だ』ってんで閑古鳥が鳴いてるけどね。あたしも泣きたいよ、たまに来るのはアンタみたいなスパーダそのものの情報を求める客だけだもん」
肩透かしな回答にバージルはため息をひとつついた。そうして彼女に背を向け、とりあえずは休息を取ろうと部屋に戻ることに。
「明日以降はまた情報と引き換えに金を寄越しなよ!」
バタン、と苛立ち露に閉じた扉の音はおそらく肯定の返事として彼女の耳に届いたことだろう。