第4章 孤児院にて
「俺の手伝い。この辺りの悪魔の掃除だとか、何でも屋 Devil May Cryの仕事だ」
「駄目よネロ、バージルさんはお客様だもの」
「構わん、宿代くらいは稼ごう」
実の父親にあんまりな対応だと嗜めようとしたキリエだが、直後にバージルから了承を受けてしまえばそのまま口をつぐんでしまう。
もとよりタダで寝泊まりするつもりなどなかった、ここにいつまで留まるかは決めていないがいつかは出ていくつもりだったし、それまでは何かしらの形で返す予定だった。むしろネロがその宿代の形態を提示してきただけ好都合だ。キリエはそれ以上反対せず、むしろ相手の申し出を喜ぶ素振りすら見せた。
「ありがとうございます、実は地獄門はなくなっても時折悪魔が出没する場所があって……目撃され次第ネロが討伐してくれているのですが」
「それでも週に一度あるかないかの頻度で悪魔が出るんだ、たぶんあの辺りに時々小さい穴が開くんだと思う。どいつもこいつも雑魚いから苦労はしないだろうけどな」
「そうか、ならば早急に悪魔をせん滅し穴の場所を特定し、塞げばいい」
こともなげに言ってのけるバージルにネロは面喰ったように言い返そうとした。どうやって穴をふさぐのだ、と。しかしそこではた、と思い至った。そしてバージルもまた彼が思い至ったのと同じことを告げる。
「閻魔刀の力で一つ一つ塞ぐことは可能だ、ただし全てを塞ぎ切れるかどうかは断言できんが」
雑魚悪魔の定期的な出現は、魔剣士スパーダがこの地を封じてから相当長い年月が過ぎたのと、以前の事件で幾つもの地獄門と閻魔刀によって強制的に魔界と繋がる穴、それも巨大な規模のものを開かれたことから地相自体に影響が表れたものだと推測される。その代わりに開く穴のサイズが抑えられているからこそ(ネロ曰く)雑魚の悪魔くらいしかそこをくぐることができないのだろう。ネロもそこは同意らしく、『ベリアルやエキドナレベルの悪魔が出てくることはまずないと思う』と頷いた。やはりそれなりの悪魔がくぐろうと思えばそれなりのサイズの門が必要なのだ。