第4章 孤児院にて
バージルのことは、クリフォトでたまたま偶然ダンテの紹介で奇跡の再会を果たしたということになっており、ネロの腕についてはかなり滅茶苦茶にごまかしたらしい。曰く……“元凶をぶちのめしたら生えた”とか。端的に事実を捻じ曲げているとは思うがそれ以上にうまい言い方が思いつくわけでもない。ダンテは“坊やにしちゃあいい言い訳だ”と面白そうに笑っていた。
ちなみに双子の片割れである彼は魔界から戻って早々に自分とは別れて本人の住処へと舞い戻った。事務所の安否が心配だったらしい。
「立ち話もなんですから、どうぞ中へいらしてください。ネロから今日到着すると聞いてカントゥッチを焼いたんです、お口に合うといいのですが」
言葉に困っていたバージルへの助け舟だろう、キリエが控えめにそう提案してきた。バージルが何か言う前にネロが食い気味に同意して無理やりバージルの背中を押す、彼の無言の圧力と共に二人の自宅へと足を踏み入れるのだった。