第1章 Episode:1
馬に乗ることさえままならないリヴァイ。
流石に罪悪感がすごい。
『ん』
「あ?何だこの手」
『馬に乗れないんでしょう?ほら掴んで。
リヴァイの馬は私と並走してもらうから』
フラフラしていてこのまま跨って走り出したら多分落馬する。
となると大事とかは分からないけど100%怪我をする。
それは流石に幼馴染としても同士としても、兵士長としてもよくない。
『…ごめんね。私が無理矢理連れてきたせいでこんな目に…。
ほんとごめん。帰ったら私が責任持って看病と残ってる執務やるよ。ほんとごめん。』
弱々しく手を握られた手をぎゅっと強く掴み引き寄せ、自分の前に座らせる。
後ろから手を回し手綱をしっかり持つ。
「ーいや、いい。」
『さぁ出るよ。辛かったら寝てていいからね。』
「あぁ…。」
珍しく正直なリヴァイは大人しく目を瞑り寝始めた。
なにか幼い…というか弟を持った気分だ。
ふ、と時々振り返ってリヴァイの黒馬がついてきているか確認する。
しっかり着いてきていることを確認すると再び前を向き極力揺れを少なく馬を走らせる。
相変わらず走っている風は気持ちが良く、自身の黒い髪が靡く
リヴァイはすぅすぅと寝息を立てていて、少し苦しそうな表情をしている。
その顔を見るたびかなりの罪悪感が湧いてくる。
さら…と髪の毛を退かし、できる限り風を当たるように、当たりすぎないように自身のマントをかける。
肩で息をして、かなりの汗をかいている。
かなり溜まっていたのだろう。
アッカーマン家の血筋とはいえ絶対に怪我をしないとか、病気を引かないとか。そういう人間離れすぎることはない(はず)。
『もう少しだぞリヴァイ。もう少し頑張ってくれ。』
やっと兵舎に着き、急いで馬を帰す。
『ごめんね、2人も乗せちゃって。
リヴァイの子もちゃんと着いてきてくれてありがとう。』
挨拶をし急いでリヴァイの執務室に向かう。
リヴァイをおんぶするのは簡単だが、下ろすのが大変そうなので姫抱きをする。
走っていると周りの兵士が敬礼をしながらも少し困惑の目を向けてきたり、微笑ましいと思っているのか頬を赤らめていたり、びっくりしている人もいた。