第1章 Episode:1
ーカンッカンッ!と剣が交わる音が鳴る
『あれぇっ、一撃がなにかっ、軽くないで、す、かっ!』
異様に軽かった彼の剣を弾き飛ばし、喉に剣を近づける
「クッ………」
『私の1591勝1401敗。フッ、まだ私のほうが強いようね』
上から目線で煽るように言い放つ
普通なら別にノラないリヴァイだが…
「ウッセェ、もう一本だ。」
今日はノッてくるらしい。
珍しい、なんて思いながら「受けて立つ!」ともう一度構える
*
あの後数戦剣を交わらせたが、やはり少しリヴァイの調子が悪い。
いつもなら余裕で避けられる攻撃かすかながらも当たってしまったり、振り抜ける剣を私が軽々と跳ね除けられたり。
もう15年も一緒にいるのだ。
彼の動きのクセや力、スピード、技術、小さい弱点だって見抜いている。
しかし今日のリヴァイはどうだ。
クセはともかく力やスピードは明らかに落ちていて、技術面も少々粗削りのように乱暴になっている。弱点もいつもより突きやすい。
なにより彼の顔がかなり青ざめている。
『…ねぇリヴァイ、なんかあった?
やっぱ今日端から見てて明らかに調子悪そうだよ。』
リヴァイに限って体調が崩れていることもないだろう。ここまでくるのに違和感はなかった。
道中なにかしていたか…?
いや、特に変なところはなかったはずだ。
「…なんでもねぇ。早くやるぞ。」
『うーそーつけ。顔が明らかに青ざめてるよ。
貧血?』
「この俺だぞ。貧血ぐらいで…」
トンッと軽く肩を押す
「クッ…あぶねぇなオイ」
『どんだけ力抜けてるの?
普通のリヴァイだったら当たっててもよろけないしそれどころか拳骨まで繰り出してくるぞ?
マジでどうしちゃったんだリヴァイ』
「問題ねぇ。とりあえず今日テメェから一本も取れてねぇのが癪に障る。もう一本だ。」
多少フラつきながらも剣を構える。
汗も尋常ではない。
息も荒く、肩で息をしているように見える。
大方風邪…またはストレスによる体調不良だろう。
誘った側としてはかなり申し訳ない。
いつも一番近くにいるのに気づけねぇなんて。
『誘った側だけど今日はもう帰ろう。
もうそろそろ勧誘式も近いわけだしそれに伴って執務も増える。
押し付けられるのはもう散々なんでな、早く行くぞ。』
「チッ」
『すまないねリヴァイ。やり返しはまた今度だ。』
