第3章 Episode:3
『だいじょぶなんだぞエレン。
確かに“凄く強い、世界を変えられる力を持っている”ってことは凄く怖い。周りからの視線も感情も。
けど、私たちが持っているこの力の使い道を迷うことはない。
壁内人類のため、世界を知るため。壁の外を眺めるため。
調査兵団で心臓を捧げる兵士と誓ったのなら、そこを迷う必要なんて何処にもないじゃない!』
ナギーアの言葉は、兵士長として、エレンの上司として。
そしてなにより、エレンと同じ“期待”と“恐怖”を同時に与えられている者として。
エレン・イェーガーという同士の存在を必死に鼓舞している発言だった。
そんな自分のことを一番に理解して、支えてくれるナギーアに、エレンの頬は温かい涙で濡れていた。
『え?!エレン…?』
泣かしてしまったと思ったのだろう。
目の前でアタフタしている彼女がなんとも愛おしい。
これはリヴァイ兵長が惚れるだけある。と思いながら
「ナギーアさんのせいですよ。
…ナギーアが、優しすぎるから。」
『えぇ~、何その理由(笑)』
「自分をもっと大切にしてください。
本心を隠すような笑顔辞めてください。
自分自身を騙すようなことは辞めてください。
自分を犠牲にして、「周りが良いなら私も良い」っていう考え、1番辞めてください。
それに、リヴァイ兵長を悲しませないであげてください。」
部下にこっぴどく叱られたナギーアは一瞬目を見開いたがすぐ元通りになり、今まで見たこと無いほどの悪戯っぽく笑ってみせた
『ありがとエレン!!
…エレンには正直で居るね!!』
俺にはその言葉が勿体ないくらいだった。
だって貴方は今俺に言われて素直になったけれど
リヴァイ兵長には
元々
素直じゃないですか…。
「はい!
俺の大切な仲間!
よろしくお願いします!!」
『…承った!!』
そういったナギーアさんは愛馬に跨がり、『リヴァイの所行かなくちゃ』と言って本部にに戻っていった。