第3章 Episode:3
『難しいこと後回しでもうゆっくりしたい。
寝たい。ご飯食べたい。布団に潜りたい。』
完全に面倒臭モードになってしまったナギーアを無理矢理彼女が“面倒くさい”と思うことをやらせるのは非常に難しい。
下手をすれば人一人殺せるくらいの拳のパンチが飛んでくる。
多分今やらせると飛んでくるに違いない。
それほど今のナギーアは無気力なのだ。
当然そんなことは皆分かっていて、やろうぜなんて空気の読めない発言をする馬鹿は一人も居なかった。
「…まぁ、明日もあるし。
ナイル師団長も考え的にはこっち側だろうし。
それにピクシス司令もいる。簡単にナギは奪われないでしょ。」
ピクシスはナギーアを溺愛していて、ナギがなにかされたなどの噂を聞きつけると真意を確かめてから職権乱用をしようとするほどの過保護っぷりだ。
この件も自分の地位全て捧げてでも調査兵団に引きとどめてくださるだろう。
まぁ職権乱用は立派な犯罪だが。
『そーだそーだぁ…。
地方貴族なら私一人で(多分)どうにかできる~』
「ハァ…。そうだな。
とりあえず明日までにはその面倒臭モード解け。
明日大丈夫だと思うが一応作戦を立てておいたほうが良いだろ。
準備して困るものでもねぇし。それに越したことはねぇだろ。」
「リヴァイも随分な過保護だよねぇ…。
まぁこれ以上会議も進まなそうだし、それでいいんじゃない?」
「…リヴァイとハンジが一生懸命部屋から引き摺り出した意味はなんなんだ…。あと俺が来た意味…。」
ミケが遠い目をするなか、ナギーアはうつらうつらと眠そうにしていた。
「オイ、もう寝るのか?」
『ん…。いや、エレンに会ってから…。』
「またエレンかよ。…行って来い。
俺は行かねぇからな。」