第2章 Episode:2
「ーあれっ?
リヴァイ兵長…?とハンジさん???」
「やっほーエレン~!
元気にしてたぁ?」
「はい、おかげさまで。」
無言のままズカズカと歩き、静かにソファに座ると足を組みエレンをジッと見つめ始めるリヴァイ。
どこぞの変態だい?君は…(笑)
エレンは台所からティーカップを取り出し、いそいそと紅茶を淹れた。
お盆に乗せて3つの紅茶を持ってきたエレンは、机の上に丁寧に配膳していく。
「ありがとうねエレン」
「いえ…。
本日はどのようなご要件で…?」
少し震えている。
ハンジの地獄実験だと思っているのだろう。
それほどハンジの実験は恐ろしい。
「ナギーアのことで、知っていることがあれば話せ。」
「ーえっ…。」
エレンは一瞬驚いたような顔を浮かべ、なにか言いづらそうに顔を伏せた。
「…その反応…、知ってるんだな。
話せ。」
エレンの重そうな口が、数秒間の気まずい空気の後に開かれた。
「…言わないでほしいって…、言われてます。
…相手がたとえどんな人でも…ダメと…。
あと、リヴァイ兵長は一番ダメって言ってました。」
「そんな呑気なこと言ってる場合じゃねぇんだよ。
次の兵団会議でナギーアの憲兵に異動することが議題に入ってんだ。
アイツ本人の意志がねぇと、正直何もできずに憲兵に異動することになっちまう。」
「ーえっ」
「お願いだエレン。」
「…けど、俺もリヴァイ兵長にはこの事をはなさに話さないほうが2人にとって一番だと思うんです。
絶対に。ナギーアさんが憲兵に異動してしまうというリスクを抱えてでも。」
エレンの目は、何処までも真剣なものを帯びていた。
エレンの判断は正しいのか、正しくないのか。
それは今はまだ分からない。
それでも、こんなに必死なエレンの意志を無下にするほど腐っていない。
きっと誰よりもリヴァイとナギの幸せを願っているのだろう。
「…君には折れたよエレン。
リヴァイがダメなら、私は良いかい?
もちろんリヴァイには話さない。それは信用してくれ。」
エレンは困ったように眉を顰め、ハンジを伺うように見つめていた。
それほどナギーアのことが大切なのだろう。
自分が知らないうちに何があったかは知らないが…。
嫉妬心だな…。
「…分かりました。ハンジさん、耳だけ貸してください。」