第3章 口減らし
リヴァイは視線を逸らしてそっけなく返すが、その言葉を受けてエルヴィンは何かを決意したように机を軽く叩いた。
「彼女を調査兵団の訓練に参加させてみよう。」
その発言に、リヴァイは一瞬目を見開いた。
「おい、エルヴィン。立体機動装置も使ったことがないガキを訓練に混ぜるなんて正気か?」
彼の口調には苛立ちと不安が混じっている。だが、エルヴィンはまっすぐリヴァイの目を見つめ、静かに続けた。
「彼女は幼いながら巨人の脅威を目の当たりにしたのにも関わらず、心が折れていない。それどころか、燃えるような意志を持っているように見える。そんな者が今の調査兵団には必要だ。」
その言葉にリヴァイは黙り込んだ。納得はしていないようだが、エルヴィンの考えには一理あると感じたのか、反論を控える。
一方で、ハンジは目を輝かせて笑みを浮かべた。
「わあ、なんか面白いことになってきたね!私が彼女を連れてくるよ!」
その反応にエルヴィンもわずかに微笑み、頷く。
「今日はもう遅い。ハンジは明日、彼女をここへ連れてきてくれ。」
「了解!」
ハンジは上機嫌で返事をすると、その場を離れた。
エルヴィンの言葉を聞きながら、リヴァイは深くため息をつく。
「……全く、やることが無茶苦茶だ。」
それでもリヴァイは否定しなかった。
それだけ団長の決断には、何かを期待させる力があった。