第3章 口減らし
【体力テスト終了後、団長室にて】
「まさか、あんな幼い女の子まで作戦の名簿に載っているなんてね……」
ハンジは眉を寄せ、苦しそうな表情を浮かべた。
「そうだな。だが、檀上で彼女を見つけた時は驚いたよ。」
エルヴィンは椅子にもたれかかりながら、思い返すように語る。
「ほとんどの避難民は目に絶望を宿していたが、彼女だけは違った。まるで、巨人を全て駆逐してやると言わんばかりの燃えるような眼差しだった。」
エルヴィンはそういうと、口元をわずかに歪めた。
その表情に、ハンジは「へえ」と感嘆の声を漏らし、リヴァイは腕を組んだまま不機嫌そうに呟く。
「確かに、あのガキは避難民の中ではずば抜けて体力があった。運動神経も悪くなさそうだ。」
その意外な評価に、ハンジは驚いたようにリヴァイの顔を覗き込む。
「リヴァイが褒めるなんて珍しいね。」
「褒めたつもりはねえよ。ただ、事実を言っただけだ。」