第3章 口減らし
「失礼するよー。」
ハンジが団長室の扉を開けると、エルヴィン団長が机に座り、その隣にはリヴァイが腕を組んで立っていた。
「君がサクラ・ダンネベルクだね?」
エルヴィンが穏やかに声をかけると、サクラは少し緊張した様子で頷き、心臓を捧げる姿勢を取った――が、左手の拳を右胸に当てている。
「サクラ、逆だよ。」
エルヴィンが指摘すると、サクラは慌てて右手に切り替え、顔を赤らめた。
「し、失礼しました!」
彼女の必死な姿に、エルヴィンの口元が緩む。
「かわいいなあ。」
横でその様子を見ていたハンジが呟くと、リヴァイが静かに睨みつけた。
その冷たい視線に気づいたのか、サクラは肩をびくっと揺らした。
彼女の反応を見て、エルヴィンは少し困ったように笑みを浮かべた。
「安心してくれ。リヴァイは見た目は怖いが、悪い奴じゃない」
そのエルヴィンの優しい声が、ほんの少しサクラの緊張を和らげたようだった。