第3章 口減らし
少し前までのわたしだったら、この状況にただ流されるだけだっただろう。
命を諦め、このまま巨人の餌となる運命を受け入れていたに違いない。
だけど、今は違う。
――死にたくない。できる限り戦って、生き延びてみせる。
わたしは胸の中で強くそう叫んだ。
生き延びてみせる。そして、いつか巨人を一匹残らず駆逐して、エレンたちと一緒に海を見るんだ。
その決意を抱きしめるように、エルヴィンを見つめた。
その瞬間、エルヴィンの碧眼がこちらに向けられた気がした。
彼の鋭い視線と自分の視線が交差したその瞬間、彼の口角が上がり、笑っているように見えた。
わたしはその表情から目を逸らすことができず、鼓動が高鳴るのを感じていた。