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【進撃の巨人】自由の翼【R18】

第2章 避難生活


避難生活は想像以上に過酷だった。
食糧不足が続き、大勢の避難民たちは荒地の開拓作業に回された。

雪が降り、冷たい風が肌を刺す。手がかじかみ、指の感覚がなくなるが、手袋なんて贅沢なものはここにはない。
それでも、生きるために、わたしたちは必死になって荒れた土地を耕した。

でもこの忙しさのおかげで、何も考えなくて済むからよかったとも思った。

エレンは作業で体がクタクタになり、寝床に戻った後も、「巨人を駆逐するために筋肉をつけなきゃ」と腕立て伏せを始める。

最初はそんなエレンを見ているだけだったけど、ミカサもアルミンもエレンに続いて筋トレをはじめたため、わたしも、いつの間にか一緒になって筋トレをするようになっていた。

エレンはお母さんを殺した巨人を一匹残らず駆逐するために、調査兵団に入るのが夢らしい。

わたしにはエレンみたいに「巨人を駆逐する」なんて目的はない。むしろ、巨人なんてもう二度と見たくないと思っている。

ただ、ひとりになるのが怖いから、流されるままに同じ生活をしているだけだ。

こんな状態でみんなと一緒にいていいのかな……。

筋トレが終わり、わたしは仰向けになって天井をぼんやりと見つめていた。そんな時、同じ体勢で天井を見ていたエレンに声をかけられた。

「サクラ」

「なあに?」

「あの時さ、サクラが母さんのこと、最後まで諦めないでくれて嬉しかったんだ。」

エレンの言葉に、胸がチクリと痛む。
言っているのは、エレンのお母さんが瓦礫の下敷きになっていた時のことだ。
巨人が迫ってくる中で、恐怖を必死に抑えながら瓦礫をどかそうとしていた。

――あの時、わたしは人が巨人に食べられて死ぬところを見たことがなかった。だからきっとあんな無謀なことができた。

今のわたしだったらきっと‥‥
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