第2章 避難生活
「わたしは……」
言葉を詰まらせたわたしの気持ちを見透かしたように、エレンがそっとわたしの手を握った。
驚いてエレンを見ると、エレンは真剣な表情を浮かべていた。
「俺、強くなるよ。サクラも、ミカサも、守れるように。だから、これからも俺たちと一緒にいてほしいんだ。そしていつかアルミンが言ってた海、見に行こう」
その言葉に胸が熱くなる。
すると、もう片方の手にも温かい感触が伝わった。振り向くと、それを聞いていたミカサがわたしの手を握っていた。
「私も。エレンを守るために強くなる。サクラも一緒にいてくれたら心強い。」
両手に繋がれた温かい手と、エレンとミカサの温かい言葉に、涙腺はついに緩んだ。
――わたしは大切なものを失った。この先に希望も何もなかった。ひとりになるのが怖かった。
でも、今わたしを必要としてくれる大切な友達が隣にいる。
もう大切なものを失いたくない。
わたしはこの時、初めて自分の意思で「もう2度と大切なものを失わないために、強くなる」と決意した。
流されるように生きていた日々は、もう終わりにしようと思った。