第3章 それから
てんやわんやで宴は結局お開きとなり、3人で帰宅中。
なんだかんだ酔ったサイタマさんは夜風にあたり気持ちよさそうにしている。
ヒックヒックと酔ったからではなく泣きすぎたせいでしゃっくりが止まらない私は腫れた瞼を持ち上げながら歩く。
「大丈夫ですか?」
気遣ってくれるジェノス君にコクコク頷きながら、優しさにまた涙する。
「きらいになった?」
鼻声でしゃっくりの合間に言うと、サイタマさんとジェノス君は笑う。
「ならないだろ。」
「えぇ。」
それを聞いてまた泣く。
「ふたりに、おれいをたくさんいいたい。」
子供のようにたどたどしい口調でゆっくり話す。
思っていた感情が溢れだしてしまうのは、きっとお酒のせい。
「そばにいてくれて、まもってくれて、ありがとう。」
止まらない涙と言葉で伝える。
「ふたりはわたしの、ヒーローだよ。」
そこまで言いきるとサイタマさんとジェノス君は顔を見合せた。
そして困ったように笑うと
「「どういたしまして。」」
と子供をあやす様な優しい声で言った。
____
家に辿り着いた私達はそれぞれの部屋に戻ろうとしていた。
部屋に入ろうとして寂しくて、同じく部屋に入ろうとしている2人を盗み見る。
我ながら頭がおかしくなったんじゃないかと思う。
「おやすみなさい。」
その視線に気付いたジェノス君がそう言ってくれて、満足したのかニコッと柄にもなく笑みを返してから、ようやく踏ん切りがついた私は部屋に入った。
中に入ると真っ暗な部屋の明かりを付ける。
隣の部屋からは二人の会話が聞き取れないが微かに聞こえてくるため、寂しさは紛れていた。
ヨロヨロとベッドサイドまで歩くと、ベッドにダイブして再びしくしく泣き始める。
結局眠りにつくその時まで泣き続けていた。