第3章 それから
戻ってちゃっかり席に着いた私は自分の飲み物が満杯になっていることに気付く。
あれ?頼んだっけ?と飲み物を見つめていると、ジェノス君が
「もう無かったので、注文しておきました。烏龍茶で良かったですか?」
と言った。
よく気が付くなぁ…すごいなぁ…と関心してありがとうとしっかりお礼を言って飲み物に口をつける。
ごくん、と一口飲んで違和感に気付いた。
カウンターから慌てたように店員さんが駆けてくる。
「すみませんっ!こちらの席でご注文の烏龍茶と別の席のウーロンハイを取り間違えてしまったようでして…!」
……
「あ、ってユズさん…?」
……
「おーい、大丈夫かー?」
……
ダバーーー
目から滝のように流れ出す涙、その光景はさながらイグアスの滝のよう。
「すみません!すみません!!」
それを見てパニックになって謝り倒す店員さん、焦るサイタマさんとジェノス君。
もう前も見えていない私。
「い゛い゛んですっ…すぐに゛止まりま゛すがらっ。」
止まらぬ涙でグズグズになりながら言うと、サイタマさんは店員さんに水を頼んでいた。
「このままでは脱水で死にますよ!」
焦るジェノス君はおしぼりで止血をするように目元を押えてくれている。
日々感情を抑えてきた代償か、飲酒をすると感情のボルテージがMAXになる。
というのが私が飲酒を避ける理由なのだ。
「お待たせいたしました!!」
体内の水分量が減ってきて涙が止まってきた頃、店員さんが水をピッチャーごと持ってきてくれる。
それをサイタマさんが急いでコップに注いで私の前に置いてくれる。
それを飲もうとして、前が良く見えていない私は間違えてウーロンハイを取ってしまう。
水だと思い込んで、ごくごく飲んでしまうのを2人は口を開けて見るしか無かった。
ダバーーーーーー