第3章 それから
「先生戻りました!」
「おー、早かったな。」
ジェノスが2日ぶりにサイタマの家に戻ってきた。
深海王戦でボロボロになってしまった体はクセーノ博士のお陰ですっかり元通りだった。
「ところで先生。彼女の部屋の前に傘とバッグが落ちていたんですが、」
だらしない格好でテレビを見ているサイタマは鼻をほじりながら振り返る。
ジェノスの手にはユズが自分と帰ってきた時に持っていた持ち物がそっくりそのままあった。
「ドアノブに掛けといてそのまま忘れてるとか。」
「バッグもですか?」
「今頃焦ってんじゃねーか。アハハハ」
「傘は?雨降ってませんよ。」
「…借り物なんだろ。」
言い合っている内にサイタマは起き上がって姿勢を変えていた。
「自分、職場に届けてきます。」
つい先程来たばかりだが、ジェノスはユズの職場もといヒーロー協会に向かうべく部屋を出ていった。
そして、数分後。
「先生、ユズさんは2日間無断欠勤をしているようです。」
戻ってきたジェノスの前には既にスーツに着替えて立つサイタマがいた。
その手には小さな紙切れ。
『かえしてほしくばオレとたたかえ』
ヘタクソな字で書かれたそれを放り投げて
「…行くぞ。」
鋭い眼差しで言うサイタマに、ジェノスは真剣な眼差しで頷いた。