第3章 それから
色々あったがしばらく歩き続けていると急に街に人気が無くなった。
気付けばかなりの距離を歩いていたらしい。
「J市立病院…あれ、J市?」
いつの間にか目的の場所まで来てしまっていた自分の足に感動する。
J市まで来るのは想定外だが、せっかく来たなら危険の無い範囲で2人を探してみようと既に危険に晒されている事を忘れて散策を始める。
キョロキョロと辺りを見渡すが人気が無いだけで怪人やヒーローの姿は見えない。
携帯電話でジェノス君に直接確認したいが、戦闘中だったら逆に危険な気がしてずっと電話できない。
どこにいるのか見当もつかないので一旦歩くのをやめてネットで状況を確認しようと携帯電話を手に持った時。
____ドォォオオオン
地響きと共に大きな音が聞こえてくる。
それに続いて歓声のような大勢の声も。
明らかに怪人に関係する音だと思い、音が聞こえた方へ急ぐ。
時折聞こえてくる人の声を頼りに歩いていると、前方から人が歩いてくる。
「いや、ありえんだろ。」
「マジむかつく。」
呑気に文句を言い合いながら歩いてくる2人組を皮切りに続々と人がやってくる。
その様はまるでライブ終わりのドーム周辺のようだ。
「ね!凄いと思った!でもインチキなんでしょ?ガッカリ。」
「まぁ、まぁ、でもあれは無いよね。」
何が起きたのかは分からないが、誰かが無事に怪人を倒してくれたのだと思う。
非難の声が主立っているのは気になる、確かめるためにも人の流れに逆らって歩いていた。
「ってか、鬼サイボーグ大丈夫かなぁ。」
その呟きにふと前半で感じていた嫌な予感を思い出した。
思わず足を止めると
「ドロドロに溶けちゃってさぁ…」
「まさか死ん…」
追加で聞こえてきた不穏な言葉達は最後まで聞くことはなく。
気付けば人の多い歩道を避けて車道を走っていた。
「はぁ…はぁ…」
人が出てくる源池、ドーム型のシェルターに辿り着いた私は野次を飛ばされるよく知った姿を見つけた。
「ふざけんな!」
「あー、あー、分かった分かった。」
野次を適当にあしらう白いマントのサイタマさんが肩に抱える物を見て、視界が小刻みにグラつく。
サイタマさんの所へ駆け寄るより先に彼が私の存在に気づいた。
「!お前!」