第2章 ここから
安全そうな所にいろと言われたが、時間も少なくシェルターに行くには圧倒的に間に合わなそうだ。
色々考えた末、結論、運に任せることにした。
自宅待機しながら、ベランダからサイタマさんの勇姿を一目見ようと野次馬していた。
途中隕石にビームが飛んでいたのはジェノス君だろうか。
あんなに大きなビーム…無事を祈ろう。
ぐんぐん大きく見えてくる隕石を呆然と眺めていると突然隕石に小さな影が貫通して、次の瞬間粉々に破裂した。
目では追えなかったが、まさか今のがサイタマさん?
そうだとするなら彼のパワーはあまりにも人間離れしすぎている。
感心したのもつかの間、砕けた隕石が大量に降ってきた。
ゆっくり眺めている場合じゃない。
部屋の中に入って扉を閉めると部屋の端っこに移動した。
衝撃波で揺れる地面と家。
あちこちで聞こえる爆発音から察するに、ここら一帯は無事ではないだろう。
膝を抱えて体を丸めて頭を低く。
その状態でどのくらい居たか。
辺りの爆発音が止んでしばらくしてから、玄関の扉をガチャと開ける音がした。
「おーい、無事かー?」
廊下を歩いてくる足音が部屋の隅で蹲る私の前で止まった。
「無事か?」
近くにある声に反応して顔を上げると、サイタマさんのまん丸い顔があった。
「…無事です。」
私は何ともないことをアピールすると、口元をニッコリさせて「そっか。」と言った。
サイタマさんの無事は目視で確認、ジェノス君の安否を問うとどうやら壊れた部分があるようで、修理に行ったとのこと。
でも生きているようで良かった。
幸いにもこのアパートは無傷で、しばらくの停電はあったものの夜には復旧した。
テレビのニュースを見ると、周りはかなりの被害があったが怪我人はなし。
奇跡のような話だが、ニュースのインタビューを受けていた人の意見はかなり否定的で、この意見が広まらなければいいなと思った。