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私のヒーロー【ワンパンマン】

第2章 ここから




____ジャコ…ジャコ…


今日も無事に出勤中。

本日はトイレ掃除を担当している。

あれから愛想笑いを何度か鏡に向かって練習してみたが、どうも上手くできない。

人が来ないことを良いことにトイレの鏡に向かって練習。

そういえば女性のヒーローが少ないように感じるが、代表的なヒーローは誰がいるのだろう。

そんな事を考えながらいくらやっても不気味になる笑顔の修正を諦めて、掃除に集中しだした。



「おーい、休憩だよー。」


掃除が一通り終わった頃に先輩が呼びに来た。

手袋を捨てて掃除用具を片付けると、いそいそとトイレを後にした。


ご飯を食べている最中、先輩達が気になる事を言っていた。


「そう言えば、明日はZ市支部お休みらしいよ。」


「え?私達も?」


「うん、みんな。」


なんだ…明日はお休みか。

何でだろうよりも、何しようの方が頭の中を占めていた。

外では怪人が現れたようでガヤガヤと騒いでいる声が聞こえる。


「なんかこないだから怪人がこの近くに現れるの増えたね。」


聞こえないフリをした。

でも流石はヒーロー協会、大抵誰かが倒してくれるので大きな被害には発展しない。

ヒーロー協会が私にとっての最後の転職になればいいなと思っていた。

思っていたのに。


『ヒーロー協会から市民の皆様へお知らせします。緊急避難警報、災害レベル竜。大至急避難してください。』


次の日、休みをゴロゴロして満喫していた私の耳に巨大隕石落下の知らせが飛び込んだ。

少し前に隣の部屋から誰かが出ていく音が聞こえたから、どちらかが隕石の対応で呼ばれたのだと思うが…

家のベランダから空を見上げて確信する。

こんなもの今どうこうしたとしても間に合うはずない。

一つ息を吐いて、ふと隣のベランダを見ると同じように空を見上げる人がいた。


「サイタマさん…」


ついつい名前を呟くと、彼はこちらに向けてのっぺり笑った。


「そんな不安そうな顔すんな。俺、ちょっと行ってくるから。」


安全そうなとこにいろよーとだけ言い残して玄関の方に消えて行った。

流石にあれは…

でも彼なら何とかしてしまうかもしれない。

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