第1章 これまで
私は幼い頃から事ある毎に怪人と出くわす変な体質だ。
通学、買い物、お出かけ、休日の何気ない日にも。
大人になっても変わらず、通勤だけならまだしも会社にまで現れて仕事にならなかったり、そもそも職場が無くなることも良くあった。
なんやかんやあって、こんな私に嫌気が差していた親とは中学生の時から別居状態。
今は連絡すら取らないが、これ以上迷惑を掛けたくないからそれで良い。
今はアルバイトを転々とし、飢餓と職場の破壊を食い止めている。
毎日怪人と出会うため、会得した精神力は妙な落ち着きをもたらした。
落ち着きと言うか、もはや何も感じなくなってしまっているようにも思えるが。
怪人の殆どは反応が薄い私をとても面白くなさそうにして去ってくれる。
逃げる背中を追いかける方が彼らとしては性に合うようだ。
しかし、たまにいる無差別タイプは厄介である。
「地球滅亡!!HAHAHA!!」
こんな風に目が合うと襲いかかってくる奴はいくら無反応だろうと関係ない。
目を合わせないように、第二のスキル気配消しを使って景色と一体化する。
「全員ミンチだ!!!」
が、ごくたまに流れ弾が来ることもある。
怪人が四方八方に飛ばした技がすぐ側の建物に当たって、崩れてきた瓦礫は私の真上に落下する。
避けるにしては、瓦礫は大きすぎた。
生憎これを避ける身体能力は持っていない。
死
瓦礫の影の下でその一文字を思い浮かべた。
その時、
物凄い速さで何かが瓦礫にぶつかった。
___ガラガラッ!!
瓦礫は物の見事に粉砕され、私の頭には小さな破片がパラパラと降り注ぐだけであった。
何が起きたのか確認の為に怪人の方を見ると、何やら人と話している。
黄色いタイツに、白のマント。
丸い頭。
あぁ、"また"だ。