第2章 ここから
ヒーロー協会から帰ろうとして、また怪人に出会って、幸いなのは私の血のことを知らない怪人に出会った事だが、
なんやかんやいつもの回避法を試みたりしていて、帰るのは夕方になってしまった。
食材も底を尽きた為、夕飯にカップラーメンを食べようとしているとノック音が聞こえてきた。
玄関を開けるとサイタマさんが立っていて、私が手に持っているカップ麺を見て夕飯に誘ってくれた。
部屋にお邪魔すると、お鍋がセットしてあってお出汁のいい匂いが充満していた。
面接がどうだったか聞きたかったようだが、まさか夕飯にご馳走を食べられるなんて。
今まで考えたことは無かったが、こうして3人で食卓を囲って気付く。
なるほど1人の食事は寂しかったんだと。
暖かいお鍋の野菜を頬張る私を2人がずっと見ている。
食べ方汚いか…?と飲み込んでからキョロキョロ見渡す。
すると、サイタマさんがフッと小さく笑って言った。
「お前、今笑ってたぞ。」
まさか…と口元に手をやっている私を他所に、隙あり!とお鍋の具材をがっぽり取って食べるサイタマさん。
やられた。
でも不思議と悪い気がしなくて、またこうして過ごしたいと思う自分がいた。
____ジャー
あっという間に鍋を食べ終えて、お礼にお皿洗いをしていくことにした私は、洗った食器を丁寧に並べていた。
並べた食器をジェノス君がゴォーと手から放つ熱風で乾かしてくれて、さすがサイボーグと思うと同時に何故サイボーグになったのだろうと気になっていた。
聞いていいのか、悪いのか。
分からないから手から出る熱風を黙って眺めていた。
「…俺には家族がいました。でもある時暴走したサイボーグに故郷丸ごと全てを奪われました。」
眺めていると急にジェノス君が話し出す。
悟られてしまったかと焦ったが、彼の過去を聞いてみたい気持ちの方が勝った。
何も言わず姿勢も変えずに黙っていると彼は続ける。
「あの日から俺は復讐のために肉体をサイボーグ化し、復讐のために生きてきました。」
表情一つ変えずに言う姿に、彼もまた傷を隠し誤魔化し生きてきたのだと胸が締め付けられた。