第1章 異世界転生
「ご存知ですか?この方は、幼馴染でもあり実の兄の婚約者に恋慕している事を。その幼馴染もこの方の思いを知っていて自分から離れない様に、この方の縁談の話しが上がる度にお相手を虐め抜いた。この方は、お相手方の言い分など聞き入れず、幼馴染の言い分だけを信じた。私は何と言われようと、この方と結婚する気はありません。」
一言一句、前回と同じ内容を口にした。今回も、怒鳴られるのだろうか?しかし、今世の父親は違っていた。
「それは、何処でそんな事を知ったんだい?」
「えっ?あ、ゆ、友人から・・・。」
「他に、この事を知っている者は?」
「学園の一部では・・・。」
「・・・分かった。後の事はお父様に任せなさい。少々、調べたい事もあるから、この話しはここまで。」
「申し訳ありません。」
「オフィーリアが謝る事じゃない。今回の縁談はお断りするから心配しなくていいよ。」
「大丈夫なのですか?」
「あぁ、私に任せなさい。可愛い娘の為だからね。」
「有難うございます・・・お父様。」
今回の親の態度は違った。何処からか勧められた縁談だと言っていたけれど、私を勧めた相手は誰だったのだろう?
今世の父親は、優秀だった。今回の縁談の事で、相手の公爵家へと直ぐに話しをしに言った。そして、私が言った言葉を相手に伝えたらしい。
それを聞いて過剰に驚いたのは、公爵家のご当主本人だった。何せ、本人から言われた言葉そのまま今世の父親から聞く羽目となったのだから。
そして、学園の一部で噂話しとして出回っている事も話したそうだ。更に、私を勧めた人が誰だったのかも、この時に聞いたらしい。
家に戻って来た父親は、直ぐに私に話してくれた。
「えっと・・・じゃあ、私を公爵家に勧めたのは遠縁のハメリアって事なのですか?」
「あぁ、オフィーリアが公爵家の子息に恋慕していると聞いたそうだ。上級貴族の茶会で、噂話しとして出回っていたそうだ。」
「どうしてハメリアがそんな事・・・。」
ハメリアは侯爵家の令嬢。伯爵家より上位の貴族。
「もう少し調べてみるから、待ってなさい。ハメリアには何も言わない様にね?」
「はい。ありがとうございます。」
ハメリアは同じ歳で、先日も伯爵家で他の友人たちとも交えて茶会をした。いつもと変わらなかったのに・・・。