第1章 異世界転生
初めての子供が生まれて、一時は賑わしかった公爵家。ルシアン似の長男として生まれたルシファーは聡明な子供だった。
「父上、母上、次は妹が欲しいです。」
意味を理解しているのか疑問ながらも、可愛い我が子に願われて・・・いや、願われなくても毎晩の様に頑張っていたルシアン。
巷でも、愛妻家で有名で何処に行くにも嫁にベッタリだった。
「ねぇ、まだするの?」
「だって、ルシファーが妹がいいって言うから。」
「だからって・・・。」
「ダメだよ。逃がしてあげない。まだまだ愛し合いたいし、明日は折角の休日なんだから。」
「まさか、明日も・・・。」
「そうだね、もっと私の愛を享受してくれないと。だから、もっと私との子供をお願い。」
お願いじゃない。そうは言っても、旦那様の愛は続く。
その後、女の子二人と男の子二人を産むことになって・・・賑やかな公爵家になっていった。
「兄さま、父様は?」
「母様のところだと思うよ。」
「お邪魔しちゃダメ?」
「そうだね。兄さまが絵本を読んであげるよ。」
「ホント?じゃあ、お邪魔しないようにする。」
「そうだね。(もう一人くらい、妹か弟が増えるのかな・・・)」
そんな長男の気遣いの中、想像通りに愛し合っていた両親。その翌年、弟が生まれて更に賑わしい一家となった。
その後、長寿を全うした後。三度目の自称・神様と対面した。
「そう言えば、あの男のことなんじゃが・・・予定通りになった。」
「予定通り?」
「浮気相手に刺されて地獄に行った。」
「そうですか。」
「あ、あの・・・ワシのこと、許してくれるか?」
「えぇ、もう充分です。」
「良かった・・・これで、ワシも輪廻の輪に戻れる。」
「お祖母様に会いたいですか?」
「あぁ、そうじゃのう。愛おしい妻に、もう一度会いたい。それで、お前さんはどうする?」
「そうですね・・・私も叶うなら、あの可愛い旦那様に会いたいです。」
「孫を愛してくれてありがとう。それでは、今後ともよろしく・・・。」
輪廻の輪に戻った私たち。再び、縁のある存在となって・・・その輪は、続いて行った。
おしまい。