第1章 異世界転生
会話の終わりに、丸め込まれてはデートの約束をする事となった。展開が早い。
そして、彼はと言うと・・・その日から、色々と情報を集めていたらしい。あの後、ネシアからは謝罪された。別に、ベクサー様の事は嫌いじゃないし、寧ろ、いい人だとは思っている。
家柄的にも、お祖母さんの鶴の一声があったからか反対される事もなかった訳で・・・。要は、公爵家一同が私とのことを応援しているらしい。
デート重ねること数回。そんな頃、偶然にも彼に粉を掛ける幼馴染とのツーショットに遭遇した。一見、楽しそうな談笑中に見えなくもない。
でも、彼の目は全然笑っていない。どちらかと言えば、侮蔑さえ乗せられた目をしている。なのに、幼馴染は物凄く笑顔だ。
まさか、嫌われているなんて思ってもいないのだろう。そりゃあ、普段からアレだけ何人もの子息たちを従えているんだ。そう勘違いしても無理はない。
「オフィーリア、私を迎えに来てくれた?ありがとう、凄く嬉しいよ。」
私の手を握り締め、微笑む貴公子ぶり。私の視界の端には、幼馴染の鋭い目が見える。
「あぁ、だからさ・・・私の事は無駄だよ。」
「えっ?」
「今以上に周りに男を侍らせたいのなら、他の男を見繕いなよ。私は一人の女を仲良く相手なんて無理だから。まさか、私の婚約者にでもと考えてる?それ、無駄だよね?化けの皮が剥がれる前に、大人しくした方がいいよ。それと、オフィーリアに何かしようものなら・・・公爵家で対処するから。私を他の男と同じ様に甘く見ない方がいい。じゃあ、二度と声なんか掛けて来るなよ?」
そう言われて、大人しくする幼馴染ではない。今度は、ターゲットが私になったのだけど・・・。その事を認識した彼の行動は早かった。
今までの令嬢同様に、取り巻きたちに私が悪いのだと囃し立てたけれど・・・そんな彼らを伴い、公爵家である物を披露したらしい。
それは、幼馴染が取り巻きたちとむつみ合う映像。婚約者である公爵家一同は勿論、誰もが自分が一番だと思っていた取り巻きたちも衝撃を受けたらしい。
取り巻きたち全員分の映像を披露しては、後は二度と関わって来るなと言って後は放置。そして、誰よりも衝撃を受けたのは幼馴染に一途に恋慕していた次男。
無理矢理、ハメリアとの縁談を前向きにしようとしたものの・・・ハメリアは、家を飛び出し修道院へと入ってしまった。
