• テキストサイズ

異世界転生は自由を

第1章 異世界転生


「フィール嬢も、アレを見たの?」

私は小さく頷いた。

「昨日は、別の相手だったよ。」
「えっ?」
「知っていたんだよね?」
「それは・・・。」
「別に責めている訳じゃないから。あの子、公爵家の婚約者がいるのに、随分と奔放にしているんだな。王族ではないけれど、あんな自由にして問題でも起こったらどうするんだろう。」
「それは・・・私に言われても。」
「確かに。あの人なら、恋は盲目で引き受けそうか。」
「あの人?」
「婚約者の弟。あの子に恋慕しているよね。それは、誰よりも盲目的に。」
「・・・。」
「まぁ、いいか。関係ないし。それより、あの場所は静かで気に入っていたんだけどな。」
「それは私も・・・。」
「私も残念だよ。ただ・・・。」
「ただ?」
「今度は、私に粉を掛けて来ているんだよ。」
「えっ!!?」
「驚くよね。私も驚いた。静かな場所で話しがしたいなんて。私の事も、ベクサー家も馬鹿にしていると思わない?」
「それは・・・そうかも。」
「ところで、フィール嬢はどんな人が好み?」
「えっ?そんな突然言われても・・・。」
「何かない?優しい人とかお金持ちとか、家柄とか容姿とか・・・。私は、フィール嬢の事気に入ってる。祖母から聞いた通りの面白くて博識で心優しいから。」

あぁ、そうか。彼も私の事気付いていたのか。

「お祖母様に何か言われたの?」
「むしろ逆だよ。」
「逆?」
「自分で何とかするから、余計な事はしないでって言ってある。私は、フィール嬢との事は誠実でいたいんだ。だから、これから口説くから。フィール嬢に好きになって貰える様に。」
「えっ・・・口説く?」
「あの子爵家と伯爵家との婚約解消を促したの、フィール嬢だよね?」
「どうして・・・。」
「本人に聞いた。知らなかった?アンバー家とは、遠縁なんだ。最近、楽しくしていると聞いてそれでね。」
「女のくせにとか思わなかったの?」
「思っていたら、口説くなんて言わない。言ったよね?フィール嬢には誠実でいたいって。それに、切っ掛けは祖母だったけれど、私はずっとフィール嬢を見ていたよ。」
「えっ・・・。」
「分け隔てなく誰にも親切だし、男にもだから少々妬けたけど・・・。兎に角、フィール嬢だから気に入った。私が公爵家だと言っても言い寄っても来なかったし。」
/ 14ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp