第1章 ヒーローとの出会い
千明side
「何でも何も…俺も警察なんだが?」
「なっっ!?」
男は入ってきた時の怒りが焦りに変わったのか急に汗をかき始め静かになった。
「響也先輩この人知り合いっすか?」
「昨日この餓鬼を…」
昨晩の事を正直に話そうとするのを慌てて止め、男は苦笑いを浮かべる。
それを怪しく思ったのか警察官の人が立ち上がり、その男の腕を掴んで奥の部屋に引っ張った。
「お兄さん、詳しく正直にお話しましょうか。嘘ついたら直ぐにバレますからね。」
「おい、まっ!!おいそこの餓鬼!」
引き摺られながら俺の方を見て叫んだ。
「俺何も悪くないよな?悪いのは全部お前だよな?」
そう言って俺の肩を掴んだ。
肩を掴む手はかなり力が強く、指が肉をくい込んだ。
「いっ…!離せよ!」
俺は振り解こうとしたが相手の力が強く、上手く振り払えなかった。
「おい、強制わいせつ罪及び暴行罪で捕まりたいのかお前。」
今まで見たことの無い形相で響也さんが俺の肩を掴んでた腕を握り返した。
「いっっった!わかった!わかったから離せ!!」
そう言って男は大人しく奥の部屋に引っ込んで行った。
このままだと俺も事情聴取受けないといけないのか。
面倒だな。
けど家にも帰りたくねぇし。
そんな事を思っていると、男と一緒に奥へ引っ込んだ警察官がひょっこり顔を出し、
「あ、響也先輩。俺この人話聞くんで、その子お願いしますね。じゃ。」
っとだけ伝えて再び戻って行った。
俺話さなくていいのか?
まぁ別に被害届も出してねぇしな…
というか面倒臭いから別にいいんだけどな。
「はぁ…おい、行くぞ。家まで送るから来い。」
「あ、まっ…」
慌てて響也さんの腕を掴み引き止める。
せめて…
「あの…家じゃなくて…その…」
「何だ、はっきり言え。」
「…俺の…彼氏の家に…今居候してる…からそこに…」
何か聞きたそうな表情をしていたが、「そうか。」とだけ呟き再び歩き始めた。
俺はその後を追い、彼氏の家へと向かった。