第3章 確信
響也side
「俺の元彼、晃大先輩さ…付き合った当初は優しくて俺の事一番に考えてくれてたんだよね。でも少しずつ変わってきて…学校も行かなくなって。ギャンブルにハマっちゃったみたいで。それで借金作っちゃってさ。本当クズだよね。」
初めは辛そうな顔をしていたが、無理やり笑顔を作って話を続けた。
「俺が悪かったんだろうなー。多分、重すぎて途中から俺に興味なんて無くしちゃったんだろうな。晃大先輩執着されるの嫌いって言ってたし。だから本当は別れることは覚悟してたんだ。」
恋愛の価値観や表現の仕方なんて人それぞれだ。
俺と優だって何度もそれで揉めたことがある。
その度に話し合っていたが、結局何の解決にもならなかった。
それでもお互いが居ないとダメだと感じて番になった。
「あんな風に振られたのにさ、俺まだ好きだったんだよね。だから先輩から連絡来て嬉しくて。きっとその時は気持ちばっか突っ走って物事を上手く判断出来てなかったんだと思う。……先輩さ、借金返せなくなってて限界まで来てたみたいなんだよね。それで俺に助けを求めに来たみたいで。」
三上の声は震えていた。
手にも力が入り、布団がくしゃっとシワが寄っていた。
三上の顔を見て俺も心拍数が上がってきていた。
無理に笑顔を作っている。
「なぁ、佐野。」
三上は自分の手を下腹部に当て涙を流し始めた。
その行動を見て俺は一気に血の気が引いた。
「最近さ、体がおかしいんだ。だるくて、熱っぽくって。食欲もなくてさ。」
やめろ。
それ以上は聴きたくない。
「俺の身体、ちゃんと調べた?こことかさ。」
その三上の言動は妊娠を連想させるものだった。