第5章 互いが住む世界
千明side
「うっあぁ!ごめんなさ……俺がΩだからっ……ヒート期来ちゃったからっ……ごめんなさいっ!」
抱きついて泣いてしまった。
佐野も強く抱き締め返してくれた。
「俺こそ申し訳なかった!こんな所に連れてきたばかりに!それにもっと早くお前の元に駆けつけていれば!」
違う。
佐野は悪くない。
勝手に逃げたのは俺だ。
発情期が来て、嫌われるのが怖くて。
佐野の好きって気持ちが勘違いだと思いたくなくて。
「そんなことない。ここに連れてきてくれたから綺麗なもの見れた。佐野は何も悪くない。それに助けに来てくれた。むしろ感謝すべきなんだ。ありがとう。」
「ごめんっごめん!」
「抑制剤……飲んできたの?」
「いや、飲んでない。」
「……フェロモン大丈夫?」
俺から佐野を引き剥がす。
顔を見ると真剣な表情で、
「今は怒りでいっぱいだ。興奮なんて全くしてない。」
「っ//」
俺を見てくれている。
ちゃんと向き合ってくれている。
「何度も言うけど……あんたのその好きっていう感情は勘違いなんだって……そもそも何で俺の事なんか」
「好きだ。ちゃんと好きだ。お前のこと守りたいと思うし、ずっと一緒にいたいと思っている。ここまで言っても信じてくれないのか?」
「うぅ……//」
返答に困っていると佐野は俺を抱き抱え歩き始めた。
車の方へ向かっているのか。
「帰ろう。帰って暖かい湯船に浸かろう。その前にその頬も手当てしないとな。」
「うん……帰る//」