第5章 互いが住む世界
千明side
朝になり、目が覚めると隣には佐野の姿は無くクロが丸くなり眠っていた。
リビングからは思わずお腹が鳴るほどのいい香りがしている。
ベッドから降り、リビングに向かうとテーブルの上に朝食を並べている佐野がいた。
「おはよう、千明。」
「お、はよ…。」
「痛みはないか?」
左頬に手を添え、傷の確認をしてきた。
少しピリッとした痛みはあるが、昨日ほどでは無い。
腫れも少し引いてる気がする。
「うん、今日病院にも行くし平気。」
念の為と佐野は救急箱を取り出し、消毒をしてくれた。
痛いのは俺のはずなのに手当をしている時、佐野はまるで自分が怪我をしているかのように顔を歪ませていた。
「ありがと。飯も。」
「気にするな。薬は飲んだのか?」
「まだ。……フェロモンまだきつい?」
「少し香るが大丈夫だ。先に朝食にしよう。」
朝食を済ませた後、出かける準備をした。
佐野も病院に着いてきてくれるようだった。
せっかくの休みなのに申し訳ない気持ちになった。
「ありがとうございました。」
診察をしてくれた先生にお礼を言い、診察室から出た。
傷も大したことなく、新しい薬を貰って帰ることになった。
傷痕残らないといいけど。
ただでさえ前の傷も完全に治った訳じゃないのに。
「どうだった?」
「特に異常なし。薬だけ貰って帰る。……なぁ、こんな顔に傷ついてる恋人でもほんとにいいのか?みっともねぇし。特別美人でもねぇし。」
「別に気にならねぇよ。外見で好きになったわけじゃねぇからな。」
「そっか。」