第1章 ヒーローとの出会い
千明side
「おいっ!ちょっと!どこに行くんだよ!」
あの後俺は腕を引っ張られてどこかへ連れていかれていた。
一体どこへ行くのだろうと疑問に思いながら早歩きで必死に足を動かした。
「……初めからこうしておけば良かった……」
そう呟いたかと思うと交番の前で立ち止まった。
「交番……?」
「この餓鬼を家まで送ってやってくれ。」
俺を交番へ突き出し、中にいた警察官へ声をかけた。
突き出された勢いで立ち止まれず、警察官の人達が座る机の前に飛び出てしまった。
「ちょっ!先輩!?誰ですかこの子!!」
「は?先輩……?」
「昨日拾った。」
言い方考えろよ……語弊が生まれるだろうが。
というか今この警察、この男の事、「先輩」って呼んだよな?
てことはこの男……
「あんた警察だったのか…?」
「だったらなんだ。」
まじかよ……
っ!だから何とかわいせつ行為?とか何とか言ってたのか!
てか俺……この身なりで……警察官と一緒の部屋に……
「拾ったって……一応、響也先輩からも話聞きますからね……」
そう言って椅子を引き、俺に座るように優しく手を差し伸べてくれた。
この人は優しそうだな。
「じゃあまずは……名前と学校名、年齢も教えて。」
帰りたくなかった俺は黙り込んで答えずにいた。