• テキストサイズ

【R18】俺のヒーローはαでした

第1章 ヒーローとの出会い


千明side

ガチャっと玄関が開く音がして俺は目が覚めた。
いつの間にか眠っていた様だ。
時間を確認すると夕方の6時。

……ん?……6時!?!?

時間には驚いたがやっと帰ってきたようだ。
さて、本物はどんな美人が……

「……お前何やってんだ。てか、何でまだいんだよ。」

「何だよ、アンタかよ……」

どうやら本人が帰ってきたようだ。
くそ……会えなかったか……

「早く帰れ。お前の分の飯は無いからな。」

「言われなくても……」

「……おい……なんでそれ持ってんだよ……」

「あ…えっと…」

やば、戻すの忘れてた。
写真を持ったまま寝てしまってた。
その男は溜息を吐いて俺から写真を取り上げた。

「今朝の八つ当たりでこの人に会おうとして修羅場でも作ろうとしたのか?」

全部バレてる。
悔しい。
図星を突かれ黙り込むことしか出来なかった。

「……残念だったな、もう帰ってこないし会えないよ。」

写真を伏せるように置き直して、少し寂しそうな声色で俺にそう言った。
もう別れたのか?

「どこに行っても何処を探してもこいつには誰も会えない。一生な。」

その言葉を聞いて何となく察してしまった。
別れたとかそんな生ぬるい話じゃなさそうだ。
この人はきっともうこの世にはいないんだ。

それを知って俺はこの人にものすごく失礼なことをしようとしたんじゃないかと思った。

「……ごめんなさい……」

「何が……」

「いや…その…事情を知らないとはいえ…俺最低な事を…」

「……だったら早く帰ってくれ。こいつに他のΩを家に連れ込んでる所なんて見られたくない。」

だから写真を伏せているのか。
この人の事、本当に大切なんだな。
こんなに愛されるなんて羨ましい。
俺には帰る家なんて……

俺が無言で正座しているのが耐えられなくなったのか、また溜息を吐いて声をかけてきた。

「お前の家まで送るから……早く帰れ。家はどこだ?」

「…それが…今は実家に帰ってなくて…」

「……は?」

少し呆れた様な声でそう聞き返された。
/ 53ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp