第3章 確信
響也side
それから1週間。
三上からは全く連絡が来ない。
「先輩?どうしたんすか?ボーっとして。」
「いや…何も無い。」
最近は仕事も集中できなくなってきていた。
今日も帰って独りだ。
クロも寂しがっている。
暇なのか合田が事務作業をしている俺に話しかけてきた。
「先輩って、捜査一課にいたって聞いたんすけど本当なんすか?」
「そうだ。」
「えーなんでまたこんな所に来たんすか?……はっ!もしかして何かやらかした……いでででっ!ごめんなさっ!!冗談っす!」
合田の左頬を契れそうなくらい引っ張った。
「お前あんまりそういう事は聞くもんじゃないぞ。……別に何もしてない。俺から上にお願いしてここに来たんだ。」
優が死んでから俺はまともに捜査に入れなくなった。
死体を見る度にあの日を思い出し吐き気が止まらなかった。
それで自分から上に頼み込み、直接関わることが少ない交番勤務に入ることにした。
勿論、近くで事件が起きれば1番に駆けつけなければならない。
だが、捜査一課に比べ直接死体と直面することは減るだろうと思った。
実際、あれからそれほど大きい事件は起きて居らず、俺自身少しずつ体調が戻ってきていた。
「佐野先輩、頭良いし勿体ないっすね。まぁでも仕方ないっすよね。俺もあの事件は知ってます。まさか先輩の恋人だったなんて。」
「全国でも取り上げられたからな。今でもたまにSNSで流れてくる。」
「そういうの、被害者側の家族の事考えて欲しいっすよね。忘れて欲しくはないですけど。……あ、SNSといえば!佐野先輩!あれ知ってます?!」
コロコロと話が変わるヤツだ。
相当暇なのだろう。
少し呆れて溜息を吐き合田の方へ向き直る。
「最近とあるマニアの間で流行ってるAVなんすけど。」
「……すまんが俺はそういうのは見ないんだ。1人で見てくれ。」
流石に仕事に戻ろうとパソコンの方を向き直すが、「ちょっ!そうじゃなくて!」と合田が俺の椅子を回した。
「あまりにもリアルすぎるAVって有名らしいんすよ。しかも超高額。出演している俳優も全く情報なし。これが警察の耳にも入って今後捜査していくみたいで。」
「犯罪の匂いがするってやつか。どう考えても怪しいがな。」
「そうなんすよね。んで、そのAVサイトがこれ。」
何で知ってるんだと疑問に思いつつその画面を覗いた。
