第3章 確信
響也side
深夜1時。
三上はまだ帰ってこない。
連絡もしているが繋がらない。
『まだ帰らないのか?』
『今どこにいる?』
『電話に出てくれ』
俺のそのメッセージには既読の文字が付く気配が無い。
元彼の元へ行くと言っていた。
格好も表情も、どこか楽しみを隠せていなかった朝の三上を思い出す。
もしかしたらもう戻ってこないかもしれない。
あの男の元へ戻ったのだろう。
プレゼントされたリングも捨てれずにずっと身に付けていたんだ。
きっとまだ好きだったに違いない。
そう考えると胸が苦しくなった。
伏せておいた優の写真の前に座る。
写真の中で笑う優は変わらず綺麗だ。
「……優。俺もしかしたら別の奴を好きになってしまったかもしれない。最低だよな。しかも未成年。……お前が生きてたらビンタされてそうだ。」
この感情はあってはならない。
彼に向けては行けない。
それでも一向に連絡が取れない今、俺は優との事を思い出してしまう。
何かあったんじゃないか。
助けに行かないと手遅れになるんじゃないか。
あの時の後悔が未だにトラウマとなっている。
激しく雨が降る中、冷たくなった愛する人。
頬にはきっと怖い目にあったのだろうと想像出来てしまう涙の跡。
あの日の光景がフラッシュバックする。
その優の姿が今では三上の姿に変化するようになってきた。
「くそ……」
これ以上関わってはいけない。
きっと今頃、好きな人と幸せな一夜を過している。
邪魔はしたくない。
三上からの連絡と帰宅を諦め俺は部屋に入り、明日に備えて寝ることにした。
朝になれば……明日になればきっと連絡が来ているはずだ。
そんな期待を胸にクロと一緒にベッドに入った。