第3章 確信
千明side
母さんには退学の事や実家へ1度帰る事を連絡した。
返事は暫く経ってから「はい」としか返ってこなかった。
いつも通りだ。
どうでもいいのだろう。
きっと俺がお爺様が決めた相手と子供が出来ようが母さんには関係ないと思うだろうな。
「三上。おい。」
「え、なに……」
呼ばれていたことに気が付かなかった。
佐野が心配しているのか俺の顔を覗き込んできた。
近すぎる。
「何かあったのか?」
「いや……別に……//」
落ち着け、俺の心臓。
俺は佐野の事が好きなんてことはない。
絶対にない。
「あ、そうだ。俺、やっぱ学校辞めることにした。だからバイトもっとして早めに金貯めてここ出てくからさ。」
その言葉を聞いて佐野は一瞬寂しそうな顔をした。
今まで2人だったのが1人になるんだ。
俺だってきっと寂しくなる。
「…本当にいいのか?」
「何が?」
「高校入るために勉強頑張ったんじゃないのか?」
「え…」
これまで学校で周りからは「天才はやっぱり違う。」「そもそも育った環境が違う。」「将来決まってて羨ましい。」など俺を特別扱いする人ばかりだった。
けど佐野は違う。
母さんにも勉強の面で褒められたことないのに。
そうだよ、俺見返そうと勉強頑張って首席で入学できたんだよ。
でもその努力も誰にも見て貰えなかった。
「違うのか?」
「そう……だな。うん、頑張った。」
声が震える。
認めて貰えた気がして涙が溢れそうだ。
佐野は俺が今まで欲しかった言葉をくれる。
ちゃんと見てくれてる。
そんなことされたら勘違いするからやめて欲しい。
「でもいいんだ。何かもうどうでも。……ありがとう。」
どうしてもっと早く佐野と出会わなかったんだろうか。
もっと早く……優さんと出会う前に会いたかった。
そんなことを思ってしまう自分に嫌気がさす。
本当に俺は性格が悪い。
こんな奴誰も欲しくないに決まってる。
だから佐野は……もっといい人と……優さんのような綺麗な人と幸せになるべきなんだ。