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【R18】俺のヒーローはαでした

第3章 確信


千明side

「小さい頃に習った言葉遣いはもう忘れたのか?」

その言葉を聞いて幼い頃に厳しく躾られた日々を思い出す。
実家とも暫く離れていたから忘れてしまっていた。
父さんのことはどこであろうと「お父様」と呼ばなければいけない。
祖父の事は「お爺様」、祖母の事は「お祖母様」。
母さんの事は特に言われなかった。
お爺様とお祖母様の血を継いでいる者のみ、その呼び方をしなければならない。
実家の謎の規則だ。

「も、申し訳ございません……お父様……」

少しでも間違えれば腕をムチで打たれていた。

「ふん……やはりΩはΩだな。何をやってもダメだ。」

お父様はわざと俺に聞こえる様にΩであることを軽蔑した。
実家での俺と母さんへの過去の酷い扱いが一気に頭に流れ込む。

「本来ならお仕置だが……まぁいい。それは今度だ。」

お父様の前で正座をする俺の前に1つの封筒を渡してきた。
手紙だろうか?
両手で受け取り中身を開ける。
お爺様からの手紙のようだった。
この時期の手紙。
何となく予想が着いた。
お爺様の誕生日だろう。

「いつもはΩのお前は招待しないが……今回は絶対に来い。社長がお前に会わせたいお方がいるとおっしゃっていた。」

Ωである俺に会わせたい人……
会社で優秀なαとかだろうか?
お爺様が俺を呼ぶという事は接待……
もしくは俺に優秀なαの子を産ませる為だろう。
早めに子供が生まれれば仮にαでなくともまた新しく子供が作れる。
あんな実家で暮らしていれば何となく考えはわかる。
俺を道具としか見ていないのだろう。
行きたくないが……
社長の命令は絶対。
抵抗したとしても無理やりに連れていかれることは分かってる。

「……はい。必ず参ります。」

お父様の前で頭を下げる。
それを見てお父様は黙って家から出て行ってしまった。
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