第1章 ヒーローとの出会い
千明side
「……あれ…ここ……」
目が覚めると外はすっかり明るくなっていて朝になっていた。
昨日の雨も嘘かのように快晴だ。
知らない部屋で周りを見渡す。
熱も少し下がっているのか体が軽い。
服も着替えている。
ベッドの横に置かれた小さな引き出しの上には抑制剤と水が置かれていた。
「起きたか。」
「あっ……昨日の……」
スーツ姿で昨日助けてくれた男の人が部屋に入ってきた。
携帯も充電しててくれたのか渡してくれた。
「体調は?」
「もう平気……あの……」
「じゃあ帰れ。俺は仕事に行く。制服も洗って玄関に置いてる。」
「あ、ありがとう……ございます……」
なんか……昨日感じてた優しい感じと違う……
さっさと出ていって欲しいのか部屋から居なくなった。
俺はお礼を言おうとその人を追いかけた。
「あの……昨日はありがと……」
「お前学校は?ちゃんと行ってんのか?」
「え……えっと……」
靴を履きながら俺の頭を指さした。
「それ。それからその耳。」
俺の髪色とピアスが気になるのか少し軽蔑したような目を向けてきた。
「あ……」
「言っておくが、俺はお前に手を出す気はない。未成年だしな。それに、はっきり言って好みじゃない。そんな不良少年みたいな奴は苦手なんだ。俺が帰るまでにここから出ていけ。じゃあな。」
……は?
いや別に俺はそういう意味で話しかけたんじゃない。
ただお礼を言いたくて。
「待てよ……」
玄関から出ていこうとするその男に声をかけ引き止める。
ここまで言われて何も言わない訳にはいかない。
というか俺自身悔しい。
「俺だってっ!お前みたいな無愛想な奴は好みじゃねぇよ!何勘違いしてんだよ!この顔だけ野郎!」
言ってやった!はーすっきりした!
そんな俺の言葉には別になんとも思わなかったのか、その男は
「そうか。なら良かった。」
それだけ言い残し出ていってしまった。
なんか悔しい。
何であんな涼しそうな顔できんだ。
少しでも抱かれていいかもって思った俺が馬鹿だった。
どうせ出ていくなら何か荒らしてから出てってやる!
そう思って俺は再び部屋に戻った。