第3章 確信
千明side
「佐野ー?大丈夫か?」
トイレの扉が僅かに開いていた。
電気は着いていない。
「入るぞ?」
すると中にはトイレで項垂れている佐野がいた。
よく見ると便器の中には嘔吐物がある。
「ちょっ…佐野?!お前大丈夫かよ!」
「はぁはぁ……平気だ……うっ!」
また嘔吐し始めた。
酒を飲みすぎたのか?
でもこんな時間に?
酒の匂いはしない。
食べ過ぎか?
佐野の背中を擦りながら便器の中を覗くと胃液のようだった。
その中に混じる小さな白い固形物。
しっかり溶けきれてない錠剤の様に見える。
しかも大量に……これってもしかして……
「おい、これ……アンタ抑制剤飲みすぎだろ!何やってんだよ!?」
抑制剤も飲みすぎるとこうやって副作用が出ることもある。
俺も前に1度、実家でΩだとわかった時に必死に抗おうと飲みすぎて体験したことがある。
「どうしてこんな……っ!」
もしかして……
「俺のせいか?」
そう佐野に聞いた瞬間、背中をさすっていた俺の手を掴んできた。
「お前は悪くない。」
真剣な目をして俺にそう言った。
「でも俺が発情期で酷かったからお前も……」
「違う。俺が勝手に飲みすぎただけだ。心配するな。」
落ち着いたのか立ち上がり、部屋に戻って行った。
俺も後を追い、部屋に入った。