第3章 確信
千明side
「はぁっ……んっ...///」
佐野からキスをされた次の日、俺は発情期を迎えていた。
抑制剤をしっかり飲んでいたはずなのに近くにαの匂いがするからか今回はいつもよりも興奮している。
「んぅ…せんぱ……たすけ……あっ//」
自分で後ろを弄りながら先輩と体を重ねていた時の事を想像してしまう。
もう付き合っていないはずなのに。
俺は自分が思っている以上に粘着質なのかもしれない。
「はぁっ…はぁっ…//」
少し体の火照りが落ち着いてきた様だ。
楽になってきた。
唇に指を添わせて昨日の佐野と触れた感覚を思い出す。
一体あれはなんだったんだ?
結局聞いても佐野は好きか分からないと答えた。
でも好きじゃないのにキスなんて出来るか?
……俺は……佐野くらいイケメンならまぁ……できる……
そんなことを考えてしまった自分が改めて最低な人間だと実感し気分が落ち込んでしまう。
事実、嫌だったかと聞かれると嫌じゃなかった。
むしろ今でもドキドキと脈は速まる。
「俺は…アイツのこと…好きなのか?」
そんな事を呟いていると部屋の扉がガリガリと音を立てた。
クロが部屋に入りたがっているのか。
今は発情期も治まったし大丈夫だろう。
扉を開けるとクロはいつもの様に足元に体を擦り付けて入ってきた。
「どうしたんだ?腹減ったのか?」
抱き抱えると「にゃー」と一鳴きした。
飯は佐野から貰ってるはずだが。
「佐野ー?」
名前を呼ぶが返事がない。
今日は半休だと言っていたはずだ。
さっきまで足音がしていたからいるはず。
するとトイレの方からガタガタと物音が聞こえた。
「佐野?」
様子を見ようとクロを抱きしめたままトイレへ向かう。