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【R18】俺のヒーローはαでした

第2章 予感


響也side

遅いな。
バイトは既に終わっているはずだ。
いつもなら帰ってきてお風呂に入っている。
先程から何度も電話をかけているが繋がらない。
何か事件に巻き込まれた?
それともまたどこかでαに襲われている?

そう考えていると優が居なくなった時の事を思い出してしまった。
あの日も何度かけても電話に出なかった。
心配になって夜道を探していた俺のスマホが急になった。
優からだと思い発信者の名前を見ずに電話に出た。

「優今どこにいるんだ?」

『先輩……落ち着いて聞いてください。』

優だと思った相手は当時の後輩だった。
その言葉を聞いてすぐに嫌な予感が過ぎった。
いやまさか。
そんなはずない。
だって今朝まで楽しそうに話していたんだ。
そう自分の中で言い聞かせた俺の耳に入ってきた言葉は、優の死を意味する言葉だった。


「何でこんな時に思い出すんだ。」

三上と優は全くの別人。
ましてや恋人同士でもない。
恋愛感情なんてお互いにない。
ありえない事なのに連絡が付かない事にどこか不安を抱えていた。

ガチャ。
玄関の開く音がした。
良かった。
帰ってきたようだ。

「ただいま……」

「おかえり……何かあったのか?」

玄関まで様子を見に来るとどこか疲れた顔をしていた。
バイトが忙しかったのか?
だが、泣きそうな顔をしている。
忙しかった訳ではなかったのだろう。

「おい、三上…?」

「……風呂、行くわ。」

そう言って濡れた足のまま上がってきた。

「おい……お前…」

事情を聞こうとした時、俺の後ろから猫の鳴き声と走ってくる音が聞こえた。
そういえば三上に拾ってきた事を言っていなかった。

「クロ……?」

先程まで暗かった表情が一気に明るくなる。
クロは三上の元へ駆け寄り足元に頭をスリスリと擦り付けている。

「お前無事だったのかよ!」

三上はクロを抱き抱え嬉しそうに涙を流していた。

「良かった……本当に心配したんだからな!」

その顔を見た瞬間、俺の中で何かが弾け飛んだ気がした。
優しすぎるコイツを守りたくなってしまった。
放っておけばきっとコイツもいつか居なくなってしまいそうな気がした。

「けどなんでクロがここに……んっ?」

気が付くと俺は三上にキスをしてきた。
身体が勝手に動いていた。
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