第2章 予感
響也side
仕事中に三上が小さい男の子を連れて交番にやってきた。
迷子だった子を見つけてくれたのか、弟が居なくなったと交番を訪れて来た女の子が抱きついていた。
「良かったな、見つかって。次からはちゃんとお姉ちゃんの言うこと聞くんだぞ。」
「うん!ありがとうお兄ちゃん!今度一緒に遊ぼうね!」
「暇があればな。あ、そうだ。」
思い出したかのようにスクールバッグから絆創膏を取りだした。
すると、男の子の前に座り込み怪我をしていた所に貼り付けていた。
「さっき持ってたの思い出したから。これでいいだろ。気をつけて帰れよ。」
「うん!またね!お兄ちゃん!」
男の子は手を振り、お姉ちゃんと手を繋ぎながら帰って行った。
三上は手を振り返して、姿が見えなくなったのを確認すると手を振るのをやめた。
安心したのか眉を八の字に垂らして笑みを浮かべていた。
その姿を見て俺は胸が締めつけられるのを感じた。
三上、意外と優しい所あるのか。
子供にも好かれるようだ。
「ん?何だ?」
「いや、何でも……」
そう、と言うとスクールバッグを反対の肩に掛け直した。
「俺先に帰るわ。後でな。」
「……あぁ……」
手を軽く振りながら歩いていった。
ぼーっとしていると後輩の合田が後ろから声をかけてきた。
「あー!誰かと思ったらこの前佐野先輩が連れてきた不良少年!髪型変わってて気づかなかったっす!え!一緒に住んでるんすか……?」
「……まぁ、色々あってな。」
「……それバレたら色々まずくないっすか?俺は別に誰かに言ったりはしないっすけど……もしかしてあの子の事好き……とか?」
その言葉を聞いて俺は慌てて否定した。
心の底から。
それは絶対に無いと。
そもそもタイプじゃない。
未成年だし。
「へー……俺結構タイプかも……狙っちゃっていいっすか?先輩。」
「あ?」
思わず睨んでしまった。
何故か腹が立った。
取られたくない、そう思ってしまった。
好きじゃないはずなのに。
何故かモヤモヤする。
久々にΩと一緒にいるから勘違いしてしまってるのかもしれない。
そのうち落ち着くだろう。
俺は何度もそう言い聞かせ、仕事に戻った。