• テキストサイズ

【R18】俺のヒーローはαでした

第2章 予感


千明side

「いらっしゃいませ。ご予約されていますか?」

「あ、はい。三上です。」

予約した美容室に入り、名前を言って予約を確認してもらう。
久々の美容室だ。
髪も今まで自分で染めていたから少し傷んでいる。

店員さんに髪色と髪型を伝え、椅子に座る。
ピアスは全て外してきた。

もう1年以上金髪にしていた為、黒髪に戻すことに緊張する。
似合うといいのだが。
佐野に言わずに来たけど……まぁ特に何も思わないだろう。
そもそも俺に興味が無さそうだし。




初めて金髪にして実家に帰った時、母さんは何も言わなかった。
それまで真面目に勉強しかしてこなかったのに急に髪を染めた息子を見ても何も思わなかったのか、それとも既に俺に興味が無いのか、それはわからない。
確実に分かるのは、母さんは俺の事が嫌いだということだ。
それでも俺と一緒に住んでくれてる事に感謝している。


でも本当は、怒って欲しかった。
何かあったのか聞いて欲しかった。
金髪にして帰ってきた俺を見た母さんは顔色ひとつ変えず、仕事へ行ってしまった。

その後にすぐ晃大先輩に会いに行った。
どんな反応をするか楽しみだった。
だが、晃大先輩も同様、何も言わなかった。
反応もしなかった。
そもそも髪のことにも触れることはなかった。
だから少しでも何か反応してもらおうとピアスを開けた。
何度も何度も開けた。
軟骨に開けた時は本当に痛かった。
でもそんな痛みより、好きな人に興味を持たれない事の方が何倍も痛かった。
結局、

「お前、そんなにピアス穴空けて痛くねぇの?やばくね?」

ただその一言だけだった。
「似合うね」「その髪型好きだよ」
そんな言葉が欲しかったはずなのに。
無駄なんだと悟った時には両耳合わせて8箇所の穴が空いていた。



支払いが終わり、美容室を出て改めて自分の髪型を確認する。
どこかで見たような髪型……
あれ……これって……
佐野の元彼と同じじゃね……?
まずい、このままだと佐野に俺が佐野の事好きだと勘違いされてしまうかもしれない。
いやいやいや、流石にそれは無い。
だって俺は……

別れたはずの晃大先輩との思い出を捨てれずにいた俺は、首にかかったリング付きのネックレスを握りしめた。
こんなもの早く捨てればいいのに。
まだ好きなのかな……俺。
/ 47ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp